生物化学

研究室紹介

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研究室の概要

長田 茂宏 教授

がん化などの生命現象を遺伝子発現調節のしくみの解析から解明し、それを生命現象の理解や創薬に応用し、生命科学?健康科学の発展に寄与することを目指します。

研究においてポイントとなる単語?言葉

遺伝子発現調節、転写因子、エピジェネティクス、がん化、幹細胞、創薬、抗がん剤

教育の内容

 講義科目として、生化学?分子生物学関連の講義を担当しています。私たちの身体がどのようにできているか、それが乱れて、病気になるしくみ、また、薬がどのように作用するか、もしくは副作用、副反応が起きるしくみを理解するには、私たちの身体、薬を理解する必要があります。その理解に必要な最も大切な科目のひとつが、生化学?分子生物学です。生体内に限らず、生体外および環境全体との関り合いを含めた生命現象を理解する上で、生体における化学反応を分子レベルから細胞、生体レベルで理解することを行います。学んだ内容は、衛生化学、微生物学?免疫学、薬理学?毒性学などの薬学の多くの科目と関連するので、そのつながりを意識して講義を行います。

 卒業研究を通して、将来、研究者、技術者、薬剤師を含む医療人などとして活躍できる人材を育成します。研究を行う際は、これまでに明らかにされていること、明らかにされていないこと、明らかにする必要があることを明確にする必要があります。その上で、目的を明らかにして、仮説を立て、手段?方法を検討し、実験を行います。得られた結果を整理し、考察?討論し、明らかにされたこと、明らかにされなかったことを明確にして、次の段階に進みます。研究過程では、期待通りの結果が得られること、得られないこと、予想外のことが起きることなど様々なことが起きます。これらに対して、周りの人(研究室内外、学内外、国内外など)と討論しながら研究を進めます。これらの過程で行うことは、研究者、医療人だけでなく、すべての業種において必要な能力につながります。

研究の内容

 ヒトを含む様々な生物のゲノムDNAの塩基配列(遺伝情報)が解読されています。そのDNA情報が転写の過程によりRNA情報となり、タンパク質に翻訳されます。ヒトは受精卵から発生過程を経て、様々な組織、臓器のもととなる幹細胞が分化して個体ができあがり、生命体として機能しています。発生過程や恒常性の維持において、遺伝情報の解読は極めて精緻に制御されています。この遺伝子制御の異常は病気へとつながります。ゲノム情報の解読から、ヒトには2万数千の遺伝子が存在することが明らかにされていますが、これらの遺伝子がいつ、どのように発現するかについては不明な点が多く残されており、個体発生や病気の発症などの生命現象の理解には遺伝子発現調節の理解が必要とされています。

 ゲノムDNAは細胞の核の中にヒストンタンパク質に巻き付いて存在します。遺伝子が発現するためにはその巻き付いた状態から緩んだ状態になる必要もあります。この段階における制御はDNAの塩基配列によらないエピジェネティクス制御とよばれます。エピジェネティクス制御に関わるタンパク質にはDNAのヒストンタンパク質への巻き付き状態を変化させる酵素も含まれます。私たちの研究室では肝化学発がん初期に発現変化する遺伝子発現調節因子を複数単離しており、その中には、ヒストンタンパク質を修飾する酵素も含まれます。私たちはそれらの酵素のがん化における役割の解明を進めるだけでなく、阻害剤の研究を創薬に役立てることも行っています。

 また、近年発生学的に若い性質(幹細胞性)と、がんの悪性度が密接に関与することが知られてくるようになってきました。幹細胞性に密接に関与する因子がヒストンタンパク質に作用することも明らかとなりつつあります。従って、私たちは幹細胞性という切り口からも発がんの分子機序の解明を試み、創薬標的因子の洗い出しを目的として研究を進めています。

 以上のように、私たちは特に遺伝子発現、エピジェネティクスを介した仕組みの解明に焦点を当て、様々な角度から発がんの成り立ちを明らかにすることにより、良い次世代のがん治療薬創生を目指します。

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